二級整備士・輸入車オタクの稲数 侑哉です。
「メカニックとしての視点」そして「車オタクとしての視点」から私が感じた様々な車の乗り味、
魅力等を忖度抜きで解説で紹介していくコーナーです。
少しマニアックな話も含めて皆様に車のことを知っていただければなと思います。
今回のレビューはこの車!!!
ポルシェ 911GTS(991.2)編!!!

・スペック
エンジン形式 ---
最高出力 450PS(331kW)/6500rpm
最大トルク 56.1Kg・m(550N・m)/2150~5000rpm
種類 水平対向6気筒24バルブツインターボ
総排気量 2981cc
・ついに登場!
私のレビューではBMW、メルセデスベンツ、アウディといったドイツ車を中心に様々な車が登場しました。
この3つのメーカーは「ドイツのビック3」と呼ばれるメーカーですが、1つだけ「ドイツ車の代名詞」と呼べるメーカーで登場していないメーカーがあります。
そう、ポルシェです。
エブリンにおいてはメカニック近藤さんが911ターボS(991)を

メディアマネージャー有馬さんも997カレラを

私の友人でも981ケイマンに乗っている人がいたり

私の周りでも乗っていた人も多く、以前より「1回ポルシェに乗ってほしい」という声を聞いていて、個人的に気になる車でもありました。
そして私の初のポルシェは991.2のGTSモデル!

先に結論から言うと、「今まで乗った車でもトップクラス」でした。
今回はそんなポルシェ911 GTSの魅力を余すことなくレビューしていきます。

・「スポーツカー」を作った車
911のレビューの前に、まずポルシェというメーカーについてお話しましょう。

1930年フェルディナンド・ポルシェによって設立されたこちらの会社は元々は車を作る会社というより
・他社の車の設計(当時はVWなど)
・技術開発をする
といった「エンジニアの集団」でした。
そんなエンジニアの集団が、自分たちの理想を形とした車がポルシェ356
このポルシェ356が911の始祖であり、「スポーツカーの始まり」と言える車です。
元々はVW type1(ビートル)を設計、開発したフェルディナンド・ポルシェが、ビートルをベースとして
スポーツ・カー
「走るための車」
として制作したのがポルシェ 356となります
(ビートルという車は自動車の歴史上最も重要な位置に存在する車なんです)
そんなポルシェ356はスポーツカーという思想を作った車であり
ポルシェ911はそれを極めた車として、現代に至るまで長い歴史を作りながら受け継がれてきた車になります。

しかし、356はビートルをベースとして制作された車なので、時代と共に限界が見え、本格スポーツカーとしては厳しくなってきました。
そこでポルシェは「ゼロから新しいスポーツカーを作る」となり、911が誕生しました。

(初代モデルは901型と呼ばれます)
・伝統と現代
長く歴史を繋いできた911ですが、今回の991.2型は歴代の中でも古めかしさと現代化のバランスが絶妙と言われています。

よく言われているのが、991は「ドライバーが主体」
992は「車が主体」ということ
992では、良くも悪くも「速さのために多くの部分が電子デバイス化」しています。

速さを求める911において、多くの部分が速さのために電子デバイス化するというのは間違っていない進化ではあります。
しかし、私のE92もそうですが、やはり「車らしい荒々しさが残っている方が好み」という方もいらっしゃることと思います。
991.2は、そういった部分が残っている最後の911となりました。

そして991最大の特徴はカレラで初のターボの採用。
前期型の991.1まではNAエンジンが主流でしたが、991.2からは3.0Lツインターボ化。
乗り味の変化としては、トルクの出方が劇的に変化しました。
エンジンは450馬力を発生させます。
ここで注目したいのが450馬力とは思えないほどのパワー感と扱いやすさ。
「単純な数値の比較」では、同じ二輪駆動でも
例えばBMW M4GTSは500馬力で馬力では劣っています。

しかし、加速力、トルク感、押し出されるような感覚は911GTSの方が上回っていると感じました。
ここには911伝統の特殊なエンジンの搭載位置が関係しています。
・リアエンジン・リアドライブ
エンジンの搭載位置は車の最後部に位置する「RR方式」を採用しています。
これはかつてのビートルのエンジンの搭載位置と同じで、それをルーツとして現在でも受け継がれています。

この方式の特徴としてまず加速時のトラクションの強さがあります。
エンジンとは車の中で最も重たい部品
自動車は構造的にどの車でも「加速時に前が浮き、後ろが沈む」という挙動が発生します。
後ろが沈むので、後ろに重たい物があると、よりタイヤが地面に押し付けられて動力を地面に強力に伝えることが可能になります。
ここは単純に数値では表せない部分であり乗らないと分からない部分でもあります。
当然ですが、デメリットもあり、911以外が採用しない理由もあります。

最大のデメリットは後ろに重たい物が来るので重量バランスが悪くなってしまいます。
リアが重いと、スピンしやすい車両特性があり、逆に前が軽いので高速域では不安定になりやすくもあります。
そのため、RRレイアウトを採用している車は、少ないパワーで荷物を運びたい軽貨物車かモーターの搭載位置の関係で必然的にRRレイアウトになる電気自動車くらいで、スポーツカーでは911のみと言い切れます。

(欧州車のEVはRRレイアウトが多い印象があります)
多くのメーカーは構造的に不利が多いRRレイアウトを辞めて、FRやMRに移行しましたが
ポルシェは「不利なら解決すれば良い」と、RRレイアウトを継続。
RRレイアウトを繋いだ伝統とプライドが、911の価値へと昇華しました。

・RRは個性になった
RRの弱点を克服するためには何十年という時間をかけて開発を続けたポルシェ。
サスペンションの改良、タイヤの性能向上、電子制御と様々な方法で改良を続けた結果。
RRなのに扱いやすい車になりました。
そしてこれはかなり異常で、普通ではありえません。
特にコーナーでは車の動きが自然で、挙動がステアリングから分かりやすく伝わってきます。

車の挙動はすべてドライバーに預けているような雰囲気です。
車が「タイヤの位置はここでスロットルの開度はこれくらいで・・・」と逐一車の動きを教えてくれるようで、「情報は与えるからあとは任せます」と車が言っている感じ。
ドライバーが車に合わせていくというイメージです。
また、出口の加速は強力です。
フロントで向きを変え、リアで路面を掴む。そしてスロットルを開けた瞬間「すべてが加速に代わる」この一連の流れが自然で、高い精度で完成されています。
911は良く「コーナーが凄い!」と聞きますが、どちらかというと「コーナーを曲がった後が凄い!」という車でしょうか。

また、911は「異常なほど止まる強力なブレーキ」も特徴。
車はブレーキを踏んだ時、荷重が前に移動して、後ろは浮きます。
後輪が浮くので、リアブレーキはあまり制動力を発揮しません。
しかし、RRレイアウトは後ろが重い、つまりはリアのブレーキも地面を掴むという挙動。
実際、体が飛んでいきそうなくらい強力なブレーキですが、扱いやすく車全体が止まるような印象を受けました。
・ドライバーと車との距離をさらに縮めた車
911GTSという車は元々完成されていた911という車に対して少しのスパイスを加えた車。
そのスパイスが、「911という車の味を最も美味しく頂ける車」になりました。
GT3程の覚悟はいりませんが、カレラほど出来すぎてもなく、絶妙な中間位置に存在する「車らしい車」

そして1度911に乗って感じるのは、すべての車を乗る前に、「まず911と比べてどうか」という基準が生まれます。
60年以上の歴史を持つ911は、様々な車が存在する現代において
SUV、スポーツカー、ミニバン、といった車のジャンルに「ポルシェ」というジャンルが存在しているような車なのです。

991.2GTSは乗るのに覚悟がいるようなほど古すぎるわけでもなければ、すべてが電子デバイスで管理されているような新しすぎるわけでもなく
911の味、クルマというモノを分かりやすく味わえるピリ辛のチョリソーです。
おいしさの中にも刺激のある「最も車らしい車」と言い切れるでしょう。

(車らしい車というのは実は意外にも少ないものです)
以上
二級整備士・稲数の試乗インプレッション・・・ポルシェ 911GTS(991.2)編でした。
※ Photo By Arima
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