二級整備士・輸入車オタクの稲数 侑哉です。
「メカニックとしての視点」そして「車オタクとしての視点」から私が感じた様々な車の乗り味、
魅力等を忖度抜きで解説で紹介していくコーナーです。
少しマニアックな話も含めて皆様に車のことを知っていただければなと思います。
今回のレビューはこの車!!!
BMW Z4 M40i(G29)編!!!

・スペック
エンジン形式 B58B30B
最高出力 387PS(285kW)/5800rpm
最大トルク 51Kg・m(500N・m)/1800~5000rpm
種類 直列6気筒DOHCターボ
総排気量 2997cc
・思い入れのある車
今回レビューするZ4は、実は以前にもレビューしたことのある車種となります。
前回のレビューから日がたち、様々な車の試運転を任せて頂いていることもあり、様々な車を乗ったうえでのあえてのレビューとなります。
以前から度々お話させていただいていますが、私も元々はZ4乗り、初任給で買った初めての車がE89型35isモデルで、私にBMWの魅力を伝えてくれた思い入れの深いシリーズです。

(N54エンジンを搭載した直6ツインターボモデルです!)
また、初代モデルのE85型も乗っていたこともあり、Z4は歴代モデル全て試乗経験があります。

(NA直6モデルの「昔ながらのBMW」)
今回は現行モデルであるG29型Z4を元オーナー視点、Z4好き視点、そして大のBMW好き視点からZ4の歴史と共に確認して行きましょう。

(M40iはB58エンジンを搭載した最上位グレード)
・世代ごとに大きく変わる車
まずはZ4シリーズについて解説していきましょう。
Z4シリーズとは、BMWの2シーターFRロードスター、「軽さ、直6、後輪駆動」を軸に、格世代ごとに大きく変化してきたモデルになります。
初代モデルのE85型は2002年に登場しました。

E85型の特徴は開発、設計、生産全てがアメリカで行われており、乗り味は良くも悪くもアメ車チックです。
また、この世代のみ全てのグレードに直6エンジンが搭載されており、逆に直6しかありません。
私個人の感想としては、良くも悪くも車すぎて荒い、と感じましたがそこも魅力の一つです。
生っぽく硬派なZ4と言えます。
2代目モデル、E89型は2009年に登場

E85型と比べ、よりスポーツ性能が意識され、一番荒々しいモデルでもあります。
このモデルから直4エンジンが設定されました。
当時では珍しかった電動パワステや特殊なインジェクションシステムなど、挑戦的な技術も搭載され、唯一電動ハードトップが搭載されているモデルです。
私が乗っていた35isグレードは現在でも愛好家の多いN54エンジン搭載モデル。
N54ツインターボとM3(E92)と同じ7速DCTと合わせてかなり暴力的な車だった記憶があります。
現行モデルであるG29型は2018年に登場。

直6、ソフトトップ、FRという王道な構成でZ4の原点回帰とも言えるのがG29型になります。
荒々しかったE89型と比べ、B58エンジンを搭載するG29型は総合的に完成度の高い現代的な直6スポーツカーという印象。
現代的な技術を盛り込んだこちらのモデルは、優秀な電子制御、乗りやすいエンジンを含め、安心して乗れる安定感の高いロードスターとなりました。
また、布製ソフトトップに回帰したことにより車重が軽くなり、最も軽快に軽く走るのはG29型です。

(車重は1570キロ、E89型と比べ約90キロの軽減!)
・これはスポーツカーである
早速試乗へと移りましょう、乗り込んだ際にドアを閉めますが、まず感じるのはその剛性感
ソフトトップ車はその構造的に車体剛性に絶対的な不利を背負っていますがG29はそれを感じません。
これはオープンカーではなくスポーツカーとして作られていると感じます。
というのもシャーシやエンジンはGRスープラと共有しています。

よく「スープラはBMW」という声を耳にしますが、逆に言えば「Z4はスープラ」
GRスープラは日本を代表するようなスポーツカーではありますが、そんな車と共通している部分が多いZ4は逆に当然スポーツカー。
GRスープラのエッセンスがあるZ4が良い走りをするのは当然と言えます。

実際に車の乗り味でいうと正にFRの教科書といえるもの
フロントは軽く、ステアリングは正確、リアは暴れずにしっかりと路面に動力を伝えてくれます。
昔ながらのFRスポーツではありますが、その全てが高いレベルで仕上がっているという印象。
欠点で言うと、流石にGRスープラには一歩劣る性能という所でしょうか。
とは言ってもそもそもの設計思想が異なるため余り比較するモノでも無いのかなと思います。
GRスープラが鋭く攻める本気のスポーツカーであるなら、Z4はラグジュアリーに乗れるバランスの高いスポーツカー。
逆にスープラでは固すぎる、という所もあるのです。

(「優れている」「劣っている」では無く、単純な「キャラクターの違い」です)
・実は以外と・・・?
Z4は御覧の通りBMWでもトップクラスの車高の低い車です。
単純なイメージでは普段使いに向かず、乗りにくそうな印象を受けますが、意外と運転しやすいのも特徴。
車高の低い車は実は運転しやすいポイントがあったりします。
コーナーの安定性、低い重心などはスポーツ性能の向上は勿論ですが、言い換えれば楽に運転できるということでもあります。
また、Z4の特徴としてハンドルとタイヤの距離が遠い、があります。
自動車には例外なくキャスター・トレールというものがあり

タイヤの接地面(B)がステアリング軸(A)より後ろにあることにより
・前に進む力
・地面との摩擦
が車を真っすぐに動かそうとします。
超シンプルに言うとキャスター角(α度)が低ければ低いほど直進安定性が高い、つまりはハンドルの位置が低ければ低いほど、フロントタイヤがハンドルと離れているほど真っ直ぐ進むということです。

Z4は昔ながらのロングノーズ・ショートデッキで先ほどの理論により直進安定性が高いです。それは運転のしやすさに直結します。
反面、ハンドルが重くなり、切り始めが鋭くなるという欠点を抱えますが、Z4ではドッシリとしたステアリングというメリットに代わります。
高速道路では特にそのメリットを発揮します。

(余談ですがタイヤの上にハンドルがあるトラックのような車は、逆にステアリングを沢山切らないと曲がらないです)
・「ロードスター」
実はZ4とは他のオープンモデルとは違う名称が与えられています。
例えばM4やM8は「カブリオレ」ですがZ4は「ロードスター」です。

この違いは、カブリオレはクーペで開発された車をオープンにしたモデル。
ロードスターは最初からオープンで設計されたモデルとなります。
最初からオープンで設計されたロードスターの方がオープンカーのメリットを最大限生かし切れると言えるでしょう。

ロードスターはその開放感は当然ですが、B58エンジンの直6サウンドを肌で感じることが出来ます。
また、何よりもその「軽さ」が武器です。
M4カブリオレといったモデルはどうしても車重1900キロと重くなってしまいますが、最初からオープンで設計されたZ4の車重は1570キロ、軽快に山道などを気持ちよく走っていけるのはZ4です。
・高い次元で
E89型を乗っていた私からすると、G29は全ての総合点が高い次元で纏まっているスポーツカーという印象を受けました。
荒々しいE89型は偶に乗るには良いですが、普段使いで考えると固すぎ煩すぎで厳しい場面が多かったですが、G29は乗り心地、乗りやすさといった面が格段に進化しています。
しかし刺激が無いのか?と言われるとそんな事は無く、走りたいときには「純粋なFRスポーツ」としてドライバーを笑顔にしてくれます。
質の高い運転体験を提供する
総合的な完成度が高いG29は365日楽しめる車で、BMWの「駆け抜ける喜び」を体感するには十分すぎるモデルです。

(今回試運転した車は多数のカスタムが施されており、そっちの面でも楽しめる車です)
以上
二級整備士・稲数の試乗インプレッション・・・BMW Z4 M40i(G29)編でした。
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