二級整備士・輸入車オタクの稲数 侑哉です。
「メカニックとしての視点」そして「車オタクとしての視点」から私が感じた様々な車の乗り味、
魅力等を忖度抜きで解説で紹介していくコーナーです。
少しマニアックな話も含めて皆様に車のことを知っていただければなと思います。
第五回目は・・・
メルセデス・ベンツ SL63 AMG(R231)!
・スペック
エンジン型式 M157
最高出力 585馬力(430kw)/5500rpm
最大トルク 98.1kg・m(900N・m)/2250~3750rpm
種類 V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量 5461cc
・1954年に生まれたメルセデスの象徴
SLこそ「スポーツカーの元祖だ」そう主張する声もあるほど、SLはメルセデス、自動車史、およびクルマ愛好家にとっては特別な1台。
1954年に誕生した「300SL」をルーツにもつSLクラスは、今では第7世代となり、時代に応じて手を変え品を変え「オープンカーの最高峰」としてその地位を確立してきました。
(300SL、博物館等でご覧になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか?)
今回は第6世代となるR231型になりますが「ブランドを代表する1台の名に恥じない」車でした。
(R231型ではメルセデス初となるフルアルミニウムボディを採用)
・オープンでも車内は快適
まず前提としてこの車は「オープンカー」です
私も以前E89型Z4に乗っていましたが、正直の乗り心地はかなり固く、オープンにすると風は入ってきて風切り音は凄い。
しかしそこは流石SLクラス、風はコックピットに入って来ず、足はしなやかで乗り心地が良く、シートは柔らかい。
「快適」
(首元には温風を出す「エアスカーフ」機能も)
・「AMG」であるということ
ここまで聞くと「ラグジュアリーなGTカー」という印象を受けますが、この車は「AMG」
「乗り心地が快適」というのは何も間違っていません。
しかし驚くのがその「足回り」、乗り心地が良いということは足回りが柔らかいとも言えますが、「SL63は違う」
「ドライバーには衝撃を伝えないが、フワフワしない」という挙動を示します。
イメージは足が突っ張っている感覚ですが、不快感は無く「凄いなぁ」と思うばかり。
余計な揺れやピッチングも一切ありません。
(右左、曲がる度にサイドのランバーサポートが出てきて身体を支えてくれます)
・制御された「モンスター」
以前レビューしたC63 AMG、エンジンは510馬力をも発揮し、それが後輪から出るわけなので、当然滑る、かなり危険な「暴れ馬」でした。(そこにロマンがあるわけですが)
SL63は更にパワーのある585馬力、同じく後輪から出るので当然滑る・・・と、警戒してましたが「SL63は滑りません」。
パワーの出方がナーバス、というわけではなく、驚愕するほど速いわけですが、それはつまり「585馬力がロスなく路面に伝わっている」ということ。
当然サウンドも強烈で、野太く低い音を奏で、変速する度「バコォン!」という雰囲気の激しいバブリング。
自然と笑みが零れます。
(大排気量NAにターボの強さを足した印象のあるエンジンです)
・唯一無二
SLクラスがもつ70年の歴史の中で、R231型もまたその歴史の1台として刻まれています
時代とともに厳しくなっていく環境規制や法律。7代目モデルもまたそうした煽りを受け、同じV8モデルでもダウンサイジングされています。
また、最後のメタルトップでもあり、スペックは勿論そのエクステリアもまた人気があり、市場ではその数を減らしています。
「車はめぐり逢い」これから先の時代で徐々にR231と出会える機会も減っていく・・・と考えると悲しくなりますが、「それほどまでに皆が求めている」、と考えると仕方の無いことなのかもしれません。
以上
二級整備士・稲数の試乗インプレッション・・・メルセデス・ベンツ SL63 AMG(R231)編でした。