二級整備士・輸入車オタクの稲数 侑哉です。
「メカニックとしての視点」そして「車オタクとしての視点」から私が感じた様々な車の乗り味、
魅力等を忖度抜きで解説で紹介していくコーナーです。
少しマニアックな話も含めて皆様に車のことを知っていただければなと思います。
今回のレビューは特別編!!!
最初に乗るべきBMWは何か?
6シリーズ 640iクーペ/グランクーペ編!!!

・スペック
エンジン形式 N55B30A
最高出力 320PS(235kW)/5800rpm
最大トルク 45.9Kg・m(450N・m)/1300~4500rpm
種類 直列6気筒DOHCターボ
総排気量 2979cc
・おススメできる一台
季節も3月終盤となり、温かくなってドライブシーズンとなってきた今日この頃ですが、4月からの新入社員の方、社会人1年目の節目として車の購入を検討されている方も多数いらっしゃることと思います。
今回は「もし初めてBMWを購入するなら?」というポイントを軸におススメできる1台を紹介させて頂きます。
私は以前もお話させて頂きましたが、初任給で買った車がE89型Z4でしたが覚悟は必要な車かなと・・・
そこで今回は、私の実体験も元に20代前半の方々向けにおススメ出来る車を考えてみました。
条件として
・価格が比較的安価
・年式がそこまで古くない
・BMWの魅力を体感できる
・乗るたびに「買ってよかった」と思える
という4つのポイントから1台ピックアップ。
まず最初におススメしたいのは6シリーズ640i

今回は代車でお貸ししている640iをクーペ/グランクーペ共に二台、乗り比べながら数日間インプレッション
良いところ悪いところを正直にレビューさせて頂き、「初めて車を購入する」方にも参考になるようレビューさせて頂きます。
長編となりますが、是非お付き合いくださいませ。

・「最初に乗るべきBMWは何ですか?」
同年代のお客様からたまにご質問を頂くことがあります。
私は640iをおススメしますが、恐らくこの質問に対してまず640iを勧める人はあまり居ないかもしれません。
そして最初に絶対言っておきたいポイントは
640iは決して万人受けする車ではないという所です
「初めてのBMW」で多くの人がまず最初に考えるのは「失敗しないこと」と思います。
実際に6シリーズは空間を贅沢に使用する車です。
人を乗せるのであれば5シリーズや2シリーズアクティブツアラーの方が良いですし、キビキビ走りたいのであれば3シリーズやZ4の方が良いでしょう。
サイズも巨大で燃費もあまり良くなく、現実的な扱いやすさではもっと良い選択肢もあることは間違いありません。
では何故6シリーズをおススメするのか?
「クルマ」というモノを「移動するための道具」として考えるのであれば6シリーズは候補から外すべきです。
しかし「クルマ」を「人生の中で大きな体験」として考えるのであれば6シリーズは最初に購入するにあたって魅力的な候補であると言い切れます。
「クルマを保有するわけではなく、体験を保有する」
というクルマが6シリーズです。

・存在感は語るまでもなく・・・
まず6シリーズの特徴は何といってもそのデザインです。


決して派手なデザインではありませんが、クーペ・グランクーペ共に「余裕のある美しさ」をテーマにデザインされているそうで、最近のBMWとは逆のデザインです。
どこを見ても「のびやかで余計なものが無い」ように見えます。
車は所有すると毎日見るものですし、乗って街中にガラスのビル等があれば自分の車を見たくなる人も多いはずです。
そのときに「やっぱり良いな」と思えるかどうかは重要なものと思います。

どこかに到着して、駐車場に停める。車を降りた後誰しもが自分の車を一度振り返るでしょう。
その時に640iクーペを見て「綺麗だな」と思わせる魅力があるのがこの車です。

グランクーペはどうでしょうか。
4枚ドアになったことにより後部座席へのアクセスのしやすさ、広さが確保されて「実用的」という部分が強くなった車ですが、実際のデザインはとても実用車には見えません。
全体的な伸びやかなシルエットはクーペと変わりませんし非常に流麗なデザインです。
実際、車として実用的になったのは事実ですが、それでいてデザイン性は捨てていない。
「美しさと実用性の両立」
それが640iグランクーペです。
デザインの良さはそのまま「この車を最初に選びたくなる」という理由に直結するはずです。
・感じるのは「余裕」
640iを走らせてまず最初に感じる部分はその「余裕さ」です。
搭載するエンジンはN55B30A

3リッター直列6気筒で320PSを発揮するエンジンで、まずスペックに不足はありません。
1番の特徴は「パワーの出方が自然で扱いやすい」というところ。
アクセルを踏めば踏んだ分だけ綺麗に滑らかに反応してくれます。
この自然さが640i、そしてBMWが持つシルキーシックスの特徴です。
私が初めて買ったZ4もN54エンジンを搭載する直6モデルですが、やはりBMWの直列6気筒をまず最初に体感して欲しい。
というのが640iをおススメする理由の一つです。
特にN55エンジンは、その中でも「気持ちよさ」がズバ抜けています。
完璧にスムーズなエンジン、と言う訳ではなく、しっかりとエンジンらしさを残している・・・という印象で、回転数の上がり方、それに付随するエンジンの動きが伝わってくるような単純なスペックでは語れない魅力がそこにはあります。

組み合わされる8速ATも秀逸です。
変速は滑らかで、ショックは殆ど感じません。
しかし必要な時には求めている加速力に対して適正なギアを選択してエンジンのおいしいところを使わせてくれます。
また、スポーツモードに入れるとショックは大きくなり、「ガコン」という感じに変速して「楽しさ」も忘れてはいません。
この「余裕さ」はエンジンだけでなく、ATとの組み合わせによって生まれています。
・車を保有したら「絶対にしたくなること」
それでは試乗編に移りましょう。
今回のテーマは「初めて車を買うなら」ということで恐らく多くの人がやりたくなることをやってみました。
私は640iのオーナーになったような気分で、あえて深夜の試乗を選択。
特に用事もないのに深夜の高速道路を意味もなく流す。
目的地は特にありませんが、深夜0時を回った時間に好きな音楽を流しながら大阪の湾岸線を走ってみます。

実際に走ってまず感じたのが「640iはこういうシチュエーションで本領を発揮する車」ということです。
街中を少し走るだけ、近場に移動するだけではこの車の魅力は感じにくいと思います。
しかし、交通量の少ない深夜の高速道路ではどうでしょうか、エンジンは本当に滑らかで、回転数の上昇はレスポンスが良くアクセル操作に対して自然に反応してくれます。
高い速度域でも一切の恐怖感は無く、車の動き全てに「余裕」を感じます。
ただ単純に「速い」だけでは他にも選択肢がありますが、640iには「まだまだ乗りたい」という魅力を感じます。
行為だけで言えば「ただ車を乗っているだけ」かもしれませんが、その「乗っているだけ」が「特別なことをしている気分」になります。
走ること自体が目的になる。
640iはそんな車だと感じます。
ただ単に移動手段を手に入れるだけでは勿体ありません。
640iのような「体験を与えてくれる」車を選ぶことで、「車を持つ行為そのものに意味を与えてくれる」というイメージです。
このまま意味もなく同じ道をもう一周したくなりました。

・初めての選択肢として最適解なのか?
結論からいうと多数の人にとって最適解とは言えないでしょう。
最初にも言いましたが、「実用性」を重視するのであれば他にも車はあります。
グランクーペになると全長5mを越える大柄なボディは、デザイン性を重視したことにより取り回しの悪さも感じるのは事実です。
維持費もやはり少し気になる所もあり、ある程度の覚悟や理解も必要になる車です。
もっと扱いやすいBMWはあります。もっと無難で軽く乗れるBMWもあります。
640iはそんな合理性だけで選ぶのであれば正しい選択肢とは言えないと思います。

しかし、私はなおこの車を魅力的な選択肢として、おススメできると断言します。
何故なら、640iはBMWというメーカーの良さが非常に分かりやすく搭載されているからです。
・「シルキーシックス」の滑らかさとフィーリング
・高速道路で強く感じる「クルマの余裕」
・走ること自体に意味を持たせてくれること
BMWに惚れるには十分すぎる魅力
がそこには待っています。
そして640iでBMWを知ってしまった貴方には次の選択肢も待っています。
例えば「640iでBMWを知った貴方」がそこからより上質なラグジュアリーさを求めるのであれば・・・


次の選択肢としてM440iや750iが見えてきます。
「640iでBMWを知った貴方」がそこからより刺激や過激さを求めるのであれば・・・


M2(F87)やM4(F82)なんてどうでしょうか。
「640iでBMWを知った貴方」が沼に入る覚悟があれば・・・

E92 M3という選択肢もあります。
640iはそんな「BMWの入り口」として見れば正解とも言える1台なのです。

以上
二級整備士・稲数の試乗インプレッション・・・BMW 6シリーズ 640iクーペ/グランクーペ編でした。
前回
BMW 4シリーズ M440i



