二級整備士・輸入車オタクの稲数 侑哉です。
「メカニックとしての視点」そして「車オタクとしての視点」から私が感じた様々な車の乗り味、
魅力等を忖度抜きで解説で紹介していくコーナーです。
少しマニアックな話も含めて皆様に車のことを知っていただければなと思います。
今回のレビューはこの車!!!
BMW 7シリーズ 750i(G11)編!!!

・スペック
エンジン形式 N63B44C
最高出力 450PS(330kW)/5500rpm
最大トルク 66.3Kg・m(650N・m)/1800~4500rpm
種類 V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量 4394cc
・ドライバーズラグジュアリー
BMWのフラッグシップセダンである7シリーズはG11型で6世代目、現行モデルでは7世代目となる長い歴史を持つモデル。
そしてフラッグシップモデルである7シリーズはその中でも当時の技術を余すことなく注ぎ込んだ最上級モデルになります。
同クラスの対抗車というと、やはりメルセデス・ベンツのSクラス

BMW曰く、G11型は「Sクラスを意識した」とのこと。
Sクラスをライバルとして意識したG11型、その中でも750iはV8エンジンを搭載したハイパフォーマンスグレードになります。
今回はそんなG11、750iの実力を確認していきましょう。

・半世紀の歴史
そもそも7シリーズとはどういう車なのか、という所から始めましょう。
BMWは昔から「究極の駆け抜ける喜び」という思想を持っています。
そのため最もラグジュアリーなBMWである7シリーズでも「人に乗ってもらう車」ではなく「自分で運転する車」という位置づけで開発されています。
7シリーズの歴史は非常に長く、7世代になって様々な変化を遂げてきたモデルになるため全てを語ると長文になってしまいます、一部だけ紹介程度に解説させて頂きますが…
初代モデル、E23型は1977年に登場しました。

当時BMWには6シリーズや5シリーズは存在していましたが、ライバルのメルセデスが持つSクラスと比較して「真の高級セダン」と呼べる車は存在しませんでした。
そこで開発されたE23型は「高級車+BMWらしいスポーツカー」を理念にBMW初のフラッグシップとして登場。
E23型はBMWにとって重要な車で
・BMWのフラッグシップは7シリーズ
・高級なドライバーズカー
・Sクラスへの挑戦
登場から約半世紀が経過した現在、この理念は今もなお変わっていません。
3代目モデル、E38型は史上最高との声も大きいです

E38型は今もなおファンの多い7シリーズとなります。
1994年に登場したこちらのモデルはデザイン、走り、高級感のバランスが非常に高いレベルで完成されていました。
理由はライバル車の大型化、SクラスやジャガーXJはモデルごとに巨大化していき、巨大=威厳、といった風潮のある時代。
しかしE38型はそんな時代でもあえて「よりスポーティー」に開発され・・・
低いプロポーション、控えめで上品なデザインとエレガントな雰囲気で登場
直6、V8、V12と多数のエンジンを揃えました。
その中でも4.4L、V8エンジンを搭載する740iは特に評価が高くこのモデルはラグジュアリーとスポーツのバランスが最高と言われています。
エブリンでもE38愛好家の今村工場長は2台乗り継いだとの事。
どんな時代においてもまず走りを第一に考えるという姿勢はG11型でも繋がっている所です。
現行モデルであるG70型は大きく路線変更

現行モデルのG70型は明確にSクラス路線に寄っています。
最もラグジュアリーな7シリーズがG70ですが、最もBMWらしくない7シリーズとも言われます。
理由はこれまで重視していたドライバーズカーとしての性格が弱くなったこと。
しかしEV、デジタル、ラグジュアリーと新しい時代に合わせた次世代のフラッグシップでもあります。
実際に車としては圧倒的で、巨大なスクリーンや高音質のスピーカー、その他内装の質感や斬新なデザインなど史上最も豪華な7シリーズです。
それではG11にはどのような特徴があるのでしょうか。

・運転する高級車
まず特徴として「Carbon Core」と呼ばれるボディ構造です。

G11で初めて採用された技術ですが、カーボンファイバー(炭素繊維)を車体骨格に使用するボディ構造です。
炭素繊維は非常に軽く、尚且つ剛性が高い素材です。つまり軽量化と剛性アップが期待できます。
G11はこれにより約130キロの軽量化に成功。
また、高い剛性によりねじれ剛性の向上、軽量化による低重心化等により乗り味の向上と恩恵はかなり大きい設計になります。
「ボディ構造にカーボンを使用する」というのはi3、i8で初めて使用された構造です。

i3、i8は初めてカーボン技術を搭載した実験車であるなら、G11はそのフィードバックを得てより高度に完成された技術を使用して開発された車となるわけです。
i3、i8はボディ構造のうちキャビンをカーボンで生成する大胆な構造で、圧倒的な軽さ、剛性を得ましたが、反面コストが高すぎるという欠点がありました。
そこでG11はボディ構造のうち、重要部分だけカーボンで生成。これにより高性能を得ながらコストも下げることが可能になりました。
・自然に軽い
それでは実際の走り心地はどうなのか、という所ですが、前提として5メートルを超える大型な車です。
しかし実際はそのサイズを感じないほど軽くて軽快に走ります。
この手の車によくある「ふわりと遅れて車が動く」という事も一切ありません。
車体は路面に吸い付くように走りますし、ステアリングの落ち着き、安定感は高すぎるほどで、少なくともこの車を運転していて疲れるということは無いでしょう。
また、G11は前後エアサスペンション、アクティブダンパーを装備しており、その結果路面の凹凸を非常にソフトに吸収します。

ADAPTIVEモードでは特に真価を発揮、ただ乗り心地が良いだけではなく、路面状況によって持続的に変化するダンパーは頭の良さも持ち合わせています。
・スムーズで獰猛
750iが搭載するエンジンは4.4L、V8ツインターボ。
このエンジンは少し特殊な構造になっており、「ホットVレイアウト」と呼ばれる配置になります。

V型エンジンとは、その名前の通りVの形の形状のエンジンですが、その中でも「ホットV」という配置は、イメージで言うとVの間にターボチャージャーが配置されるエンジンになります。
この設計のメリットは
・ターボのレスポンスが良い
・エンジンがコンパクトになる
・排気経路が短い
という3つのメリットがあり
その結果「非常にトルクの立ち上がりが速いV8」となりました。
750iは、低回転から押し出されるような太いトルクがあり、速さはもちろんですが、その扱いやすさ、そして静粛性と7シリーズの「高級車+BMWらしいスポーツカー」 というコンセプトにマッチしたエンジンです。
速さだけでなく、スムーズなトルクの出方と振動を感じないエンジンのバランスは卓越しています。
・一挙両得
G11型750iは、現行モデルのG70型が路線変更したこともあって、7シリーズがコンセプトとする「スポーツとラグジュアリーの両立」を最も高い次元で両立している7シリーズと言えます。
エンジンは踏めば速く、しかし静かで滑らか。カーボンコア構造のシャシーは軽くて乗り心地が良い
よく「二兎追うものは一兎も得ず」ということわざを耳にしますが、G11型750iには通用しません。
理由は簡単です
BMWが40年以上かけて積み上げてきたイメージの頂点
これに尽きます。
G11型750iはラグジュアリーとスポーツの両立を50:50で完成させた車ではなく、100:100で完成させた車なのです。

(自動車の歴史は調べていると本当に面白いことが沢山あります)
以上
二級整備士・稲数の試乗インプレッション・・・BMW 7シリーズ 750i(G11)編でした。
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